クリエイティブ・コモンズ宴に行ってきました
今日は@niftyの運営するお台場のイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」で開催された「クリエイティブ・コモンズ宴 ~iSummitナイト~」に行ってきました。今回のイベントは、今年の夏に札幌で開催される「iSummit2008」の前夜祭になります。「iSummit」とは、年に一度、世界中のクリエイティブ・コモンズ関係者やオープンな情報流通を応援する人たちが一堂に会し、最先端のデジタルカルチャーについて多角的に検討する国際会議のことです。iSummitが日本で開催されるのは今年が初めてです。
「クリエイティブ・コモンズ宴 ~iSummitナイト~」 TOKYO CULTURE CULTURE:@nifty
http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_080604188301_1.htm
クリエイティブ・コモンズについて詳しいことをご存じない方は、本家サイトの解説やWikipediaの解説をご参照いただければと思いますが、要は、著作権法上の一部の権利を主張しない、あるいは一定の条件に従えば自由な利用を認めるといったことを通じて、コンテンツの流通を促進しようという運動です。ちなみに、このブログにもクリエイティブ・コモンズを適用してあります(表示-継承 2.1 日本)。このブログのうち、僕が創作し、僕自身が単独で権利を有するコンテンツは全て、誰でも自由にコピペしたり、一部を改変して新しいコンテンツを創作したり、印刷して売ったりすることができます。ただし、その際には必ず、(1)僕の名前をクレジットすること、(2)一部を改変して新しいコンテンツを創作した場合は、その新しいコンテンツをオリジナルである僕のコンテンツと同じ条件(つまり、自由に複製、改変、営利目的利用ができるということ)において公開することが必要になります。
さて、以下、簡単にイベントの模様をレポートしてみたいと思います。
開催時間は19時から22時くらいまで、僕は仕事の都合で20時くらいから参加しました。参加者は40-50名でしたが、僕と同様に遅刻する人も多く、ポツポツと増えていく感じでした。目算の男女比は8:2というところでした。イベントは、クリエイティブ・コモンズを採用したサービスの主催者が登壇して、各サービスにおけるクリエイティブ・コモンズの活用例を実演してみせるというワークショップ形式でした。
僕が参加してから最初のワークショップは、@niftyの「ビデオ共有」とのサービス概要紹介とムービー作成実演、それから「ビデオ共有」が共催している「音景2008」の紹介でした。「ビデオ共有」の利用者には初心者が多いので、なるべくシンプルなサービスになるようにしたとのことです。その結果として、類似の他サービスと比較すると、早くて軽いものになっているとのことでした。実際に300枚の写真と音景で素材用に公開されている音楽を組み合わせてスライドショーを作成する実演を見た感じでは、たしかにムービー作成など一度もしたことのないような素人でも簡単にムービーが作れそうな感じでしたね。
15分ほど参加者同士の交流を図る休憩を挟んだ後、次のワークショップは、web上に「本」のようなメディアを簡単に作れるUGM「BCCS」の紹介でした。通常のブログとの違いとしては、「編集」と「デザイン」を切り口にしているとのことです。たしかに非常に洗練された表現のできそうなサービスだと思いましたが、クリエイティブ・コモンズとのつながりはそこまで高くはないようにも思いました。
再度15分ほどの休憩を挟んだ後、最後のワークショップは、株式会社ロフトワークが開催する「ダウンロード特集」において、ダウンロードする人がその素材を利用するに当たって遵守すべき利用条件としてクリエイティブ・コモンズを利用しているという例の紹介でした。普段の仕事でサービスの利用規約とかを作ったりする機会も多い身としては、この試みは非常に面白いものであると思いました。クリエーターの権利を守りつつ、素材はなるべく自由に使ってもらえるわけで、まさにクリエイティブ・コモンズの理念に合致している素晴らしい活用法だと思います。
イベント概要は以上の通りになりますが、これからはクリエイティブ・コモンズに関する僕の意見を少し述べてみたいと思います。
最初に言明しておきますが、自分のブログにクリエイティブ・コモンズを適用していることからもおわかりいただけるように、僕はクリエイティブ・コモンズの理念には賛成しています。コピーのコストが著しく低下したデジタル時代における新しいコピーライトのあり方を提示する素晴らしい試みの一つであると思っています。しかし、クリエイティブ・コモンズには、GPLも同様ですが、「サイバーコミュニズム」とでもいうべきイデオロギー的な主張がどこか入り交じっているのではないかという懸念があります。その教条的なイデオロギーゆえに、理念としては素晴らしいとしても、現実世界には受け入れられないのではないかという疑問が払拭できないのです。
その疑問とは、端的に言えば、マイクロペイメント(少額でも良いのでファンがクリエイターに支払をすることを想定)が未発達の現状においては、プロのクリエイターが自分の発表するコンテンツにクリエイティブ・コモンズを全面的に採用した場合、結局のところ、生活の糧を得られないのではないかということです(別途契約を締結すれば適切に有償提供も可能だということはもちろん理解しています)。言い換えれば、クリエイティブ・コモンズが広く普及して、誰もがクリエイティブ・コモンズを適用するようになったとして、プロのクリエイターがそれでも食っていくことは可能なのでしょうか?もしそれができないのにクリエイティブ・コモンズが拡大していけば、将来的にはクリエイターはすべてアマチュアレベルに止まらざるを得ないのではないかと思ってしまうのです。それは著作権法第1条に定められた「文化の発展」という理念にも反しているようにも思います。
クリエイターとしては、最低限自分が食べていける収入を得られなければならないと思います。価値観の多様化した現代においては、そのために必要な「お金を出してくれる最低限のファンの集まり」としてのマイクロコミュニティを以前よりも形成しやすくなっているとは思います。しかしながら、クリエイティブ・コモンズがそのようなマイクロコミュニティ形成にどのように貢献できるかが、今の時点では不明確であると思います。
個人的には、クリエイティブ・コモンズの「非営利」条項が、そのようなマイクロコミュニティ形成の阻害要因になっているのではないかと考えています。現状のクリエイティブ・コモンズは、コンテンツの共有という理念に重きを置くあまり、それに反するプロプライエタリな使用を排除すべく「非営利」を適用することが多いと思いますが、それではクリエイターに経済的利益が入る契機を奪ってしまっているのではないかと思うのです。
だから、僕が今あったらいいなと思っているクリエイティブ・コモンズの条件は、「営利利用を認める代わりに、その営利利用から得られた収益から予め定められた料率をクリエイターに支払う」というものです。それを最初から提示しておいて、面倒な契約手続なしでもクリエイターに適切な収入が得られるようになれば良いと思うのです。もちろん実現するには課題が山ほどありますが、そのようなマイクロペイメントの構築に貢献していくことが、クリエイティブ・コモンズ、ひいてはデジタル時代の創作活動の発展に繋がるのではないかと考えています。
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