2008年7月 6日 (日)

ルセロのショーを見てきました

今日は、大学時代の奇術愛好会のメンバーと、「マジックバー十二時」で開催された、アルマンド・ルセロのクロースアップショーを観てきました。プロマジシャンのクロースアップショーを観るのは実に久しぶりです。下手をしたら大学卒業以来初めてかもしれません。その分、とても刺激的で面白かったです。

ルセロはあまりメジャーなマジシャンではないと思いますが、2007年9月に日テレで放送された「史上最強のマジック」に出演したときには物凄いスライハンドを披露していました。典型的なカーディシャンですね。

非常に大雑把にまとめてしまうと、ルセロの演じる手品は、カルとデックのトップカードのスイッチに依存しているものが多いと思います。「技法そのものを現象にしてはいけない」ということをよく言いますが、その2つのテクニックに依存しているせいで、ルセロの起こす現象はどれも似たり寄ったりになってしまっているきらいがあるような気がします。だから、技法重視の手品マニアには熱狂的に興味深い演技である一方で、手品を知らない一般の人には同じような効果ばかりなので飽きられてしまうのではないかとちょっと心配します。テレビで10分くらいのコーナーを演じるのならともかく、今回のような数十分のショーとなると辛い気がしますね。

とはいえ、ルセロのテクニックを目の当たりにすると、大学生の頃のように、技法マニアにもう一度なってやろうかしらんという熱い気持ちにさせられますね。特に、生で観るルセロのカルとスイッチの美事さには舌を巻きました。複数枚のカルの威力は再認識しましたし、デックのトップカードをさりげなくテーブル上でひっくり返す際のスイッチは、その動作が実に自然であるので、観客には全く疑念を抱かせることがないと思います。カルとスイッチは僕もちょっと練習してみることにします!

さて、クロースアップショーは非常に小規模なもので、全部で15名程度の観客が馬蹄状の配置で鑑賞するスタイルとなっていました。テーブルには仄かに揺れるロウソクが神秘的な照明効果を作り出していました。観客の半分くらいは手品経験者だったと思いますが、残りの半分の方たちも受けが良い観客だったと思います。演技時間は、全部で40分程度だったと思います。

ショーの内容を簡単にまとめると、以下のような感じでした。ここに書いた以外にも他に色々やっていた記憶もあるのですが、数が多すぎて覚えていられませんでした(笑)。きょうじゅさん、yasiceさん、お手数ですが、補足をお願いします。

1.オープニング

A4くらいの赤い紙からピンポン球くらいの白い玉を出現させ、それを大きな水晶玉に変化させます。その水晶玉を使ったコンタクトジャグリングを見せたあと、唐突に水晶玉を消失させます。

2.カードマジック(としか言いようがない……)

最初は、両手に1枚のカードを持って、手の中で回転させると、いつの間にか別のカードに変化しているという現象です。次は、観客に1枚カードを選ばせ(ダイヤのキングでした)、それをデックに戻してシャッフルしてからカードが何だったかを当てますが、それだけで終わらずにダイヤ以外の3枚のキングも一緒に出現させます。その後は、4枚のキングをデックのなかに混ぜても混ぜても、やはり戻ってくる現象を何度も繰り返します。最後は、4枚のキングを1枚ずつテーブルに並べ、その上に3枚ずつカードを置いてから、キングが一カ所に集まるアセンブリー現象を見せますが、キング以外の山を見るとクイーン、ジャック、10……エースとカードが全て揃っているという現象でした。

3.リンキングリング

手品ファンにはお馴染みの、6本リングを使った、切れ目のない金属の輪っかが繋がったり外れたりする現象です。演じるスタイルとしては、リングが溶けるように繋がるという感じの静かなものではなくて、勢いのある演技で、ミスディレクションを使って、いつの間にか繋がっていたというものでした。

4.コインアセンブリー

これも手品ファンにはお馴染みの現象です。4枚のカードをテーブルに正方形の頂点に置く形で並べますが、いつの間にか、カードの下からコインが出現します。それから、4枚のコインの上に1枚ずつカードを置いていきますが、いつのまにか1枚のカードの下にコインが全部集まってしまいます。次は、コインが1枚ずつ集まっていく様子をゆっくり見せていくのですが、今度は逆に集まっていたコインがいつの間にかそれぞれのカードの下に戻ってしまうというリバースアセンブリー現象です。それから、カードの枚数を2枚に減らして、やはりコインが集まってしまうという現象で締めでした。

5.カードマジック

ショーの最後はカードマジックに戻って、「シンクロニシティ」、つまり観客の一人が選んだカードとルセロの選んだカードが偶然に一致するという現象を見せます。偶然の一致を何度か繰り返した後、トリは「史上最強のマジック」でも演じていた、観客が心の中で思っただけのカードを2枚のジョーカーが少しずつ探し当てるという現象です。ビデオで何度も見ていた現象でしたが、ライブで見ると非常に不思議でした。少し改めがくどい気もしましたが、入念に印象づけられるので、クライマックスが活きていたと思います。

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2008年6月15日 (日)

慶応義塾奇術愛好会第45回定期発表会「AUCTION」鑑賞

昨日は、慶応義塾奇術愛好会(Keio Magician's Society、略称KMS)の第45回定期発表会「AUCTION」を鑑賞してきました。本格的なステージマジックを観るのは、昨年のKMS第44回発表会「Bar~Gin Trick」以来ですので約一年ぶりでしたが、実に面白かったです。NHKがFISMを放送しなくなり、一時期のTVの手品ブームが過ぎてしまって、最近はステージマジックを観る機会がメッキリ減ってしまった気がしますね……。僕自身はクロースアップマジック中心ですが、今回の「AUCTION」を観て、特に演出の発想において学ぶべきところも多かったように思います。

「AUCTION」概要
日時:6月14日(土) 18:00~19:40(休憩時間含む)
場所:ヤクルトホール
観客:約400名

Kms45

全体的な感想としては、1.マニピュレーションの復権、2.演出におけるデジタル加工技術の進歩、3.「手品」のマージナル化ということを覚えました。

1.マニピュレーションの復権ですが、去年の「Bar~Gin Trick」では全14演目中7つがプロダクションで、ジャグリングやクロースアップやパントマイムなどが5演目でしたので、マニピュレーションは2つしかありませんでした。それに対して、「AUCTION」では、4演目に増えていました。その理由を強引に推測するとは、特にウォンドの演技を観て感じたことですが、最近の「ペン回し」ブームのようなものが背景にあるのかもしれません。

2.演出におけるデジタル加工技術の進歩ですが、いくつかの演目で演技に合わせて編集されたBGMが使われていたり、フィナーレの挨拶にCGで綺麗に作成されたムービーが流されていたりします。これらのデジタル技術は数年前から使われてはいましたが、まだまだ実験的という感じで、まだまだレベルが高いとは言えないものでした。それが、今年の一演目は完成度が非常に高く、大げさに言えば、ステージマジックの演出の新しい可能性を感じました。

3.「手品」のマージナル化とは、僕が現役だった頃の発表会と言えば、オーソドックスな手品が大半で、ジャグリングが例外として入っているという感じでした。ジャグリングが入っていることでさえ、KMSの特徴だと言われていたくらいでした。それが、今年はジャグリングが3つの演目にも分かれていて、ダンスの要素を取り入れた演技もあったりして、「手品」という概念が他のジャンルのエンターテインメントと融合して、新たしい方向に進化しているような気がします。去年も書きましたが、「奇術愛好会」の発表会だから必ず手品を演じなければいけないわけではなく、神秘性・幻想性・非日常感・非現実感のようなものを観客に与えられる舞台であれば、何でも良いと考えています。

さて、以下は個別の演目の感想を簡単に述べてみたいと思います。

一部

1.「Garden」(フラワー)
落ち着いたオーソドックスな演技で、マジックショーの開幕を飾るのにふさわしいと思いました。赤い花をストリーマーに変える演出が美しかったです。それにしても、僕が現役だった頃に比較すると、ギミックがずいぶんと進歩していますねえ……。

2.「Αρχαριοζ」(ボールジャグリング)
もはや5ボールが当たり前になっていますね。技術レベルの高まりを実感します。個人的な感想ですが、二部5番のバウンスボールジャグリングと別々の演目に分けなくても良かったのではないかと思います。

3.「もう歌しか聴こえない」(ディスク)
コインの変形の演目で、CD(コンパクトディスク)を使った演技です。今回の発表会の中で一番面白かったです。CDを使ったミリオンなんかをやるだけあって、技術的に高いだけでなく、演技とBGMが完璧にシンクロしているところが素晴らしかったです。BGMとのシンクロとは、たとえばCDの大きさが小さくなるとBGMも音量が小さくなったり、CDの数が増えるとBGMのパートも増えたり、CDの色が変わるとBGMの曲も変わるという感じです。当然、BGMは自作なのでしょうが、そういうBGMを作成できるだけの音楽編集技術はスゴイですね。前々から考えていたことですが、視覚のみに頼る手品というのは奥行きが狭いと思います。視覚だけでなく、聴覚とか触覚とか、他の感覚も使えるような手品が理想だと思っていました。その点、この演技は理想的でした。もう一度生で観てみたいものです。

4.「Jack in the box」(アラカルト)
ステージにゴミ箱が置いてあって、それを使った不思議な演技でした。上半身が透明になる現象が、妙に味があって良かったです。とはいえ、演技時間がもうちょっと長くても良かったようにも思います。

5.「Gekokujo Extacy」(リング)
男女ペアでのリングの演技です。赤いシルクを使って、リングがつながった、外れたということを効果的に表現できていたと思います。とはいえ、二人の交互に行う演技のために、観客がどこを注意して観れば良いかがぼやけてしまうきらいもあるように思います。

6.「Dignite Solitaire」(カード)
オーソドックスな演技で、技術力も高いと思います。ミリオンカードが綺麗で、失礼な言い分ですが、学生さんの演技でカードを沢山出してくるのが不思議に見えた演技は久しぶりです。もう少し構成に奇抜さがあっても良かったかもです。トリネタの噴水カードの出力は相変わらず高いです。

7.「In the mood」(ウォンド)
タキシードを着ている必要性は疑問でしたが、マニピュレーションのレベルは高いです。トリネタとしてアピアリングケーンにつなげる構成は面白かったですね。最近の「ペン回し」ブームに影響されたと思われる演技が一部にありましたが、あまり「ペン回し」っぽさを重視しすぎると、ジャグリングになってしまって、不思議さが消えてしまうのではないかと、旧いOBとしては少し気になります。

8.「四季ノ唄」(和妻)
最近のKMSで恒例となっている二人の演者による和妻です。最初の桜色のホリの色がとても綺麗でしたね。まさに日本の四季というものを実感できたと思います。道具の不具合が残念でしたが、相変わらずの大迫力でした。

二部

1.「諸君、私はクラブが大好きだ」(クラブトスジャグリング)
3人組のクラブトスです。かなり練習しているようで、3人が交互に入れ替わりながらボクシングをしたりするくらいのレベルの高さでした。決めポーズがカッコいいのですが、型が決まっちゃっている感じがあって、拍手しづらい雰囲気があったのがちょっと残念です。

2.「Sereuity from Trussardi」(ワイン)
実にオーソドックスな演技で、ジャグリングの直後の雰囲気を上手く手品に誘導できていたと思います。本物のブドウが出てくるのが面白かったですが、そのブドウを使った演技につなげてくれるとさらに良かったかもです。ワインタワーのためだったのかもしれませんが、テーブルの下に赤い絨毯が敷いてあったので、液体を使った演技があるのかもと思いました。

3.「Dark Chest of Wonders」(マスク)
元となっているルーティーンは、KMSの伝統的なものだと思いますが、演者の意思に反してマスクが制御できなくなる部分がなくなったことで、構成がスッキリしたように思います。マスクの連続チェンジは迫力がありました。最後にサーベルみたいなものを出すのが面白かったですが、それを最後に何かにつなげてくれるとなお良かったかもです。

4.「(ダンスと手品)」(ダンス)
パントマイムとダンスと手品を組み合わせた演技です。何とも言えない魅力がありますね。歯車とBGMがリンクしていたり、ダンスの演技とハートが出てくる手品がつながっていたりと、個々の要素は面白いのですが、それらが単発で終わってしまっているのが残念に思いました。

5.「The Art of Rhythm」(バウンスボールジャグリング)
記憶が定かではないですが、バウンスボールをメインに据えたジャグリングは、KMSの発表会の中でも初めてではないでしょうか。新鮮でとても面白かったです。5ボールのバウンスから、そのまま5ボールカスケードにつなげるところがとても良かったです。7ボールのバウンスもスゴイです。来年は7ボールバウンスからカスケードにつなげてくれることを期待しています。

6.「Teardrops of the Moon ~撞球の調べ~」(四ツ玉)
上述のマニピュレーションの復権を象徴するような非常にテクニカルな演技でした。シェルのローリングやバックアンドフロントなど、まさにマニアとしか言いようがありません。これぞ学生マジックという感じで、思わずにやけてしまいます。途中で不測の事態が起きましたが、裏方がよくカバーしていたと思います。裏方の皆様もおつかれさまでした。

7.「Dove Dance」(ハト)
一番手品らしい演技だったと思います。発表会のオオトリを飾るのに相応しいオーソドックスかつ丁寧な演技だったと思います。また、オーソドックスさのなかに、最初の2羽で派手な素出しを連発するなど、迫力も十分でした。助手の女の子の動きも落ち着いていて良かったと思います。

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2008年6月 1日 (日)

『タロットカード・マジック事典』読了

松田道弘『タロットカード・マジック事典』を読了しました。恥ずかしながら、手品の専門書を読むのは実に久しぶりです。面白そうな本は出版されるたびに買ってはいるのですが、なかなか読む機会がなくて……。

本書は、タロットカード、その中でも「大アルカナ」と言われるタロット占いなどで見かける絵柄の入ったカードのみを使った30数種類のマジックを解説した本です。初心者向けのマジック、本格的に手品をやる人向けのマジック、エキスパート・マジシャン向けのマジックと大きく三部構成になっていますので、幅広い層にオススメできる一冊だと思います。また、タロットの歴史なども解説されていますので、読み物としても面白いです。

個人的に、手品の最も重要な要素は「神秘性」にあると考えています。ですので、重大な何かを暗示していそうな大アルカナの絵柄の呪術的イメージは、手品に似つかわしいと思います。もちろん、あまり演出をやり過ぎて本物の魔法のように見せてしまうのは、マジシャンのマナーとして避けるべきではあると思います。松田道弘さんも本書のなかでそのような忠告をしていますね。

さて、本書のなかで一番気に入った作品は、「3×3マトリックス タロット版」というものです。現象としては、以下のとおりです。縦横3枚ずつ合計9枚の大アルカナをテーブルに並べます。そして、コインを1枚観客に渡し、好きな大アルカナの上に置いてもらいます。それから、観客にこれからやる指示を書いたメモを渡し、そのとおりに行動してもらいます。行動の大枠は、大アルカナから別の大アルカナに指定した回数、自由にコインを動かしてもらい、動かし終わったらメモに予め指定された大アルカナを1枚取りのけていくというものです。そうやっていくと、最後に1枚だけ大アルカナが残りますが、それがメモに予言されているのです。

コインを動かすのはあくまで観客の自由意思であるのに、メモの予言が次第に実現していくところが非常に神秘的で優れたトリックだと思います。ただ、タイトルに「タロット版」とあるとおり、このトリックはタロットカードでなければできないという性質のものではありません。本書にもクレジットがされていますが、松山光伸『セルフワーキング・マジック事典』にはトランプで演じるバージョンや、世界地図を使って国際指名手配犯を追い詰める演出などが解説されています。同書によれば、元ネタは、マーチン・ガードナーがサイエンティフィック・アメリカンで取り上げたものだそうです。

このように、本書は、『タロットカード・マジック事典』というタイトルではありますが、実はタロットカードでなければできない作品はほとんどなく、大半はトランプやその他の手段で代替可能なセルフワーキング・トリックだったり数理トリックだったりします。むしろ、既存のトリックのタロットカードを使った演出集という趣の本なのです。本書を購入しようと思われている方は、その点に気を付けられた方が良いと思います。本書を読むと、手品で大切なのはやはり技法ではなくて演出なのだなあと実感します(もちろん、ベースとして技法は重要ですが)。

たとえば、"Torn and Restored Card"にしても、神秘性ということを考えると、トランプでやるよりも大アルカナでやった方が効果的だったりするかもしれません。Wikipediaによると、逆位置の「死神」には「死からの復活」という意味があるようです。としたら、最初に逆位置の「死神」をフォースして、それから"Torn and Restored Card"につなげるなんてアイディアが使えるかもしれませんね。本書を読んで、久しぶりに手品の演出について自分なりのアイディアを考えみています。誰に見せるというわけでもないのですが、なかなか楽しいものです。

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2007年6月 9日 (土)

「Bar~Gin Trick」鑑賞

第44回慶應義塾奇術愛好会定期発表会「Bar~Gin Trick」を鑑賞してきました。自分が卒業してからもう数年が経ちますが、毎年楽しませていただいています。クラシカルな手品だけでなく、実験的な演目もあり、2時間という比較的長い発表会があっという間に過ぎてしまいました。演者のみなさん、スタッフのみなさん、本当にお疲れ様でした!

第44回慶應義塾奇術愛好会定期発表会「Bar~Gin Trick」
http://www.geocities.jp/kmssite/event/2007/happyou/index.html
日時:6月9日(土) 18:00~20:15(休憩時間含む)
場所:ヤクルトホール

ただ、今回の発表会では、全14演目のうち、非手品の演目が4つもあり、一緒に観ていたOBのなかには、「手品っぽくない」といういささか否定的な意見も少しありました。僕が現役だった頃には、慶応は他大に比べてオーソドックスな芸風であるという評判があり、他大の発表会にはネタに走るものも多い中で、孤高に正統派の演技を貫くことに誇りをもっていた部員が多かったことはたしかだと思います。僕も自分の芸風はクラシカルですので、そのような意見に賛同する面もありますが、それはそれとして、今回の発表会はとても面白かったと思います。そもそも、「奇術愛好会」だから必ず手品を演じなければいけないかというと、僕はそうでもないと思っていまして、広範に「不思議さ」とでもいうべきもの、つまり、神秘性・幻想性・非日常感・非現実感のようなものを観客に与えられる舞台を演出できるのであれば、何でもアリではないのかと考えています。今回の発表会は、そういう総合的な「不思議」系エンターテインメントとしての完成度は高かったと思います。

個人的な偏見ですが、上記のような古いOBがもっていた「誇り」の裏面には、ある種の劣等感のようなものがあると思っています。どういうことかというと、手品のレベルアップには、多分、たとえばジャグリングよりも多くの時間と経験が必要だと思うのですが、だとすると、大学に入って同時期に練習を始めたマジシャンとジャグラーでは、発表会に出る2年・3年という短い期間では、マジシャンよりもジャグラーのほうが「上手い」と思うのです。だから、マジシャンが多かった時代のOBは、ジャグラーのような非手品系の演技のほうが拍手がもらえたり、アンケートで良い結果が出たりすることにやっかんでしまうのです。「引きが丸見え」とかいう意見があるかもしれませんが、そんなことは自分たちの頃でも同じくらいの丸見えっぷりだったわけです。何というか、「あいつはアホだなあ」みたいな、否定的な言辞を媒介にした逆説的愛情表現みたいなものなのです。だから、そんなOBの他愛もない戯言は聞き流してしまえば良いと思います。そんなわけなので、これからもたまには遊びに行かせてくださいね(笑)。

さて、以下は個別の演目の感想を簡単に述べてみたいと思います。

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2007年6月 4日 (月)

ブートキャンプとWiiスポーツ

一昨日6月2日(土)は、KMSの通し練を見に行ってきました。来週の6月9日(土)が本番ということもあり、皆さん気合の入った練習をしていました。ただ、このまま本番のステージに立っても問題なし!と思えるような演技は数個かそこらしかなく、毎年のことながら、本番の出来がちょっと心配ではあります。もちろん、本番時には、きちんとしたホールの音響と照明といくつかの奇跡が化合した「本番パワー」が発揮されるので、素直に楽しめるレベルにはなると思うのですが、練習教室で見ても「これは!」と唸らされるようなオーラのある演者がいないんですよね。パーム漏れやロードばれが散見されますし……。

部外者の勝手な意見ですが、最近はいわゆる「マニア」な人が少なくて、古い時代の学生マジックやプロの演技に接する機会があまりないため、演技の質が固定化されてしまっていて、発展性があまりないのではないかと危惧します。せいぜい数年前の先輩の演技や他大のサークルの演技しか参考にしていないため、演技が縮小再生産的とでもいうか、ブレークスルーが起きにくい閉鎖的な環境になっているような気がしてなりません。

個人的に、OBの存在意義は、現役の学生の間では廃れてしまった知識の継承にこそあると思いますので、フレッド・カップスのコインの演技や『European Night』のチャニング・ポロックのハト出しや「FISM2000」のサルバノのワイン・プロダクションのビデオをそれぞれの演目の演者に渡してきました。本番1週間前に今更という気がしないでもないですが、残り1週間の目標をより高いところにおいて、密度の濃い練習をしてもらいたいと思っています。

通し練後、会社の同期の家で開催されたWiiスポーツ大会に参加してきました。Wiiスポーツで遊ぶのはこれで2回目ですが、つくづく良くできたゲームだと思います。テニスを4人プレイで遊んでいると、小学校のとき、友達の家に集まって、くにおくんの大運動会なんかを毎日のようにやりこんでいた頃のことを彷彿とさせてくれます。単純ながら奥が深く、お互い協力しながら遊べるのは、ファミコン世代の僕にとっては、まさにゲームの原点であると思います。

Wiiテニスは、高速サーブが7割くらいの確率で出せるようになりました。でも、リターンのスピードも速いので、返されてしまうと反応できなくて、諸刃の剣ではあるのですが……。あと、よくわからないのが、ときどきイレギュラーバウンドというか、バウンドした後にボールの軌道が急に変わることがあって、それに全く対応ができません。ボールに回転を加えたりできるんですかね?

Wiiの合間に、最近話題の「ビリーズブートキャンプ」を参加者みんなでやってみました。一番最初の「基礎編」をやったのですが、これは相当キツイですね……。これは有酸素運動で脂肪を燃焼させるタイプのダイエットではなく、筋力をつけることで基礎代謝を上げ、カロリーを消費させやすい身体をつくるタイプのダイエットなわけですが、ゴムバンドを使って本気でトレーニングしたら、冗談じゃなくてソルジャーになれちゃうんじゃないかと思っちゃうくらいキツイです。

しかも、腹筋を鍛えるエクササイズ中に、ビリーが「疲れたら休んでもいい。でも諦めるな!」とか言い出すものですから、思わず笑い出してしまって、別の意味で腹筋が痛くなるというものです。「これは何トレだ?」「筋トレ!」「違う、ビリーズブートキャンプだ!」とか、名言多数です。最後に「ヴィクトリー!」と叫ぶのも最高です。これらの名言を聞くためだけにDVDを買いたくなってきます。そろそろヤフオクで中古品がダブつきそうですので、本気で買ってみようかと思ってます。

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2007年6月 3日 (日)

追悼ブルース・サーボン

森羅万象ドットコム経由の情報ですが、ブルース・サーボンが亡くなったそうです。最近、トミー・ワンダーも亡くなったばかりですし、手品界の重鎮がまた一人いなくなってしまいました。謹んでご冥福をお祈りします。
http://insidemagic.com/magicnews/The_News/Latest_News/Sad_News%3A_Bruce_Cervon_Passes_200705253181/

追悼の意を込めて、『カードマジック事典』を読み返して、「Perpetual Motion Poker Routine」(ポーカー・デモンストレーション②、301ページ)を練習しなおしてみました。この作品はほぼセルフワーキングであり、しかも演じた後にセットの状態が元通りに戻るため、大学時代に学園祭でクロースアップを見せる場のように、何度も繰り返し演技をしなければならないときには、ときどき演じていたものです。

正直なところ、ブルース・サーボンについては疎く、『カードマジック事典』に収録されていた作品くらいしか知らないのですが、この「Perpetual Motion Poker Routine」は計算された良作だと思います。こういう作品を作れる人が逝ってしまわれるのは、残念なものです。享年は66歳だったそうですが、もう何年かは活躍してほしかったですね……。

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2007年5月13日 (日)

完成された芸

今日は東京ディズニーランドに行ってきました。会社の労働組合の親睦イベントで、施設を借り切って特別なショーをしてもらう「パーク・ファン・パーティー」という企画の下見のためです。他の会社が行っていた同種のイベントを見学したり、お楽しみ抽選会の賞品の選定をしたりをしていたら、あっという間に夕方になってしまって、結局、アトラクションには一つも乗らずに帰ってきました……。もっとも、今日は爽やかな五月晴れの絶好の週末ということもあり、どのアトラクションも「120分待ち」という感じで、並ぶ気も失せてしまいましたね。
http://www.tokyodisneyresort.co.jp/eigyou/index.html

TDLに行くのは、実に10年ぶりくらいでしたが、こんなにもレベルの高いイベントをやっているのかと驚嘆しました。「パーク・ファン・パーティー」は全部で30分足らずの短いショーではあるのですが、その進行、構成、演出、どれをとっても非常にハイレベルでした。着ぐるみのキャラクターたちの動作や仕草はもちろんのこと、スーツ姿の司会役のお姉さんの一挙手一投足までが完成された動きでした。

よくよく観察すると、彼女たちの所作はいくつかの動作の組み合わせであることがわかります。ステージ上で客席を見渡す仕草、ものを指し示すときの手の角度、腰のかがめ具合、セリフの間の取り方、そういった個々のモジュール自体はいつも同じです。ある意味、ワンパターンではあるのですが、それぞれのモジュールが完璧なまでに無駄がなく、洗練されており、適度のアドリブとともに演じられると、ただただ見惚れるばかりの演技となります。もちろん精密にマニュアル化されているのでしょうが、思わず、サン・テグジュペリの『人間の土地』の一節を思い出しました。

完成は付加すべき何ものもなくなったときではなく、除去すべき何ものもなくなったときに達せられるように思われる。

このショーを見ながら、今は故人となってしまわれた大学時代の手品サークルの大先輩のことを思い出しました。その先輩は、手品の演技から徹底して無駄を省くことを強調され、「ステージにおいて必要なのは座布団一枚分のスペースだけだ」といつもおっしゃっていました。つまり、演技が洗練されるほど動作から無駄な部分がなくなり、大げさな身振りをすることやステージ上を歩いて移動することは必要なくなるというわけです。たしかに、「動作の一貫性」(Uniformity of the Action)を追及していけば、最終的な完成形はそのようになると思います。TDLのショーから、そのことを再確認した次第です。

帰り際に、TDL内のマジックショップに寄って、TDL限定(?)のマジックグッズをいくつか買ってきました。このマジックショップはテンヨーと提携しているみたいですので、実はTDL以外でも売っているのかもしれませんが、ミッキーの絵柄の描かれたゴーストハンカチーフと「ミラクルリング」のリングがミッキーの顔の形をしているものです。手品グッズを買うのは久しぶりですので、きちんと練習しなくては……。

@niftyBOOKS:人間の土地 改版
http://nifty.bk1.co.jp/product/1725730

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2007年5月12日 (土)

GWに読んだ本(5)テクニカルなカードマジック講座2

ゴールデンウィークに読んだ本第五弾は、荒木一郎の『テクニカルなカードマジック講座 2』です。一応、これで最後です。

@niftyBOOKS:テクニカルなカードマジック講座 2
http://nifty.bk1.co.jp/product/2734369

正直なところ、最近は手品に対する情熱みたいなものが薄らいでいました。というのも、僕は手品に関する情報を入手する経路が基本的に書籍とテレビの特番だけでしたので、NHKがFISMも放送しなくなり、書籍は仕事が忙しくて読む時間がなくなりという感じで、手品情報のインプットが著しく低下し、それに伴ってやる気も失っていくという負のスパイラル状態だったわけです。でも、久々に読んだ本書のおかげで、また少し練習しようという気が出てきました。やっぱり社会人が趣味を維持していくには、継続的な情報の摂取が必要みたいですね。

さて、本書は書籍+DVDという構成になっています。DVDで実際の演技の流れを確認して、詳しい手順の解説は書籍を読むという感じですね。最近はこういうスタイルの解説書が流行ですけれども、パソコンの前に座ってDVDを観ながら膝に書籍を置いて両手はトランプをいじくれる手品の場合は特に有効だと思います。

DVDの実演を観た限りでは、「東京・ホテル・ミステリー」という作品が一番面白かったです。本書によれば、「ホテル・ミステリー・プロット」という有名なテーマの改案らしいのですが、そんなテーマは初耳でした……。うむむ、これではマニアの名がすたるというものです。内容は単純なパケットの交換現象です。短時間で演じられて、視覚的効果の高い、良作だと思います。とりあえず、この作品を練習してみようと思っています。そういえば、ココログフリーはブログ内に動画を貼り付けられたりできないんですかね?上手く演じられるようになったら、動画をアップしてみたいなとちょっと思ったのですが……。

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2007年5月 2日 (水)

奇術師全体の共有財産が侵害された!

NEWS@nifty:TVニュースで手品の種明かし、困ったマジシャン賠償提訴(読売新聞)
http://newsflash.nifty.com/news/tk/tk__yomiuri_20070501i412.htm

マジシャンたるもの、このニュースに触れないわけにはいかないでしょう。

2006年11月に、500円玉とかを使ってシガースルーコインを製造していたマジックショップ「フレンチドロップ」のオーナーが、「貨幣損傷等取締法」という聞いたこともないような法律違反だとして逮捕されたのが、そもそもの発端です。ちなみに、この裁判については、つい先日の2007年4月13日に、懲役6月、執行猶予3年の有罪判決が出ています(確定情報を見つけられなかったのですが、どうやら控訴しているようです)。

この裁判に関連して、一部のテレビ局が、ニュース報道の中で不必要な手品のネタばらしをしてしまったそうなのです(僕自身は最近はほとんどテレビを見ないので、実際のネタばらしの様子についてはよくわからないのですが)。それに反発したマジシャンたちが、「犯罪報道の域を超えるもので、奇術師全体の共有財産が侵害され、大きなダメージを受けた」(上記リンク先より引用)と主張して起こしたのが、今回の裁判になります。

「テレビ局を相手に裁判を起こそう」という呼びかけは、マジックメーリングリストでも話題になっていましたが、本気で起こすとはちょっと意外でした……。手品のネタの財産性を立証する(このネタにはいくらの財産的価値があるとか)のはなかなか難しいのではないかと思いますが、いちアマチュア・マジシャンとしては、もちろん応援したいと思います。でも、あまりやりすぎると、「シガースルーコインの財産的価値は2000円である」なんて裁判所に認定されてしまって、その後の商売がやりにくくなったりしないものか、ちょっと心配ですw

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